看護雑誌から
看護系のパラパラとめくっていて、気になった記事を紹介するコーナーです。一見堅苦しそうな雑誌でも、読むとけっこうおもしろい記事があったりするんですよ。
| 【助産婦のための緊急避妊講座】 『助産婦雑誌』:医学書院Vol.55 No.8 2001年8月、p.76〜86 | |
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通称『モーニングアフターピル』と呼ばれている経口避妊薬をご存じでしょうか? これはふつうのピルと違って、事後に飲む避妊薬。つまり避妊に失敗したとか、レイプされたといった場合に、望まれない妊娠を回避する最後の避妊手段として使われる緊急避妊薬です。 日本では正式には認可されておらず、産婦人科医でさえその存在を知らない人が多いという摩訶不思議な薬なんですが、そんなものが確かに存在しています。商品名「ブリベン Breven 」といってインターネットの通販なんかで売られています。 いったいどんな成分で、どんな機序で事後に妊娠を抑えるんだろうと前から気になっていたんですが、先日、学校図書室にあった雑誌の中から【助産婦のための緊急避妊講座】という記事を見つけました。 これによると事後経口避妊薬が使われるようになったのは1960年代からとのこと。そんな新しいものではないんですね。 成分はエストロゲンとプロゲステロンの合剤、つまりホルモン剤です。これを多めに投与することで生理バランスを変化させて、受精卵の着床を防ぐそうです。だから着床前の性交後72時間以内じゃないと効果がないとか。 この事後経口避妊薬、アメリカやヨーロッパでは正式に認可された薬で、その必要性からフランスは2000年の1月から、イギリスでは2001年1月から処方箋なしで買える薬になっています。 日本では裏取引の他は、社団法人日本家族計画協会クリニックというところで処方を行っています。2001年3月末までに同クリニックで緊急避妊外来を受診したのは356人。そのうち追跡調査できた266件のうち、失敗例は7件、2.6%とのこと。 インターネットの通販で取り引きされているのは"ブリベン"という緊急避難専用の商品で、妊娠チェック薬などとセットになって販売されています。一般にモーニングアフターピルといったら、このブリベンを指すことが多いようですが、先の家族計画協会クリニックが処方しているのは、日本で正式に販売されている中用量ホルモン剤です。 でも先の家族計画協会クリニックが処方しているのは、日本で正式に販売されている中用量ホルモン剤。もともとは「機能性子宮出血、月経困難症、月経周期異常(稀発月経、頻発月経)、過多月経、子宮内膜症、卵巣機能不全」が適応とされているもので、成分的にはブリベンとまったく同じ。 もともとは「機能性子宮出血、月経困難症、月経周期異常(稀発月経、頻発月経)、過多月経、子宮内膜症、卵巣機能不全」が適応とされている薬で、成分的にはブリベンとまったく同じものです。 というわけで、通販で買うと何万円(ある通販ではUS$179)もする薬ですけど、正式に処方してもらえば、それほど高くないんじゃないのかなという気がします。もちろん健康保険適用外なので、それなりの出費にはなるでしょうけど。一説によると薬代自体は3000円程度だそうです(あくまで噂です。裏はとってません。薬価のほかに初診料等もかかるはず)。 この事後経口避妊薬は、そんなやましいものではないと思うんですが、どうも日陰者という位置づけみたい。同記事の後半には使用経験者3人の対談が載っているんですが、町の産婦人科医に相談しても「そんな薬があるわけない!」なんて怒られる場面もあったそうです。 看護学生というだけで友達からなにかと相談されることが多いのもの。事後避妊薬についても、知識としてこのことを知っておくのも大切かも。ということで学校図書室でこの記事を探して読んでみることをお奨めします。 ポイントだけを書いておくと、現在日本で緊急避妊ピルを処方してくれるのは前述の社団法人日本家族計画協会クリニックというところ。さらにそこが中心となって「緊急避妊ネットワーク」というのを作っていて、緊急避妊ピルを出しくれる機関は今のところ全国で149施設あるそうです。詳細は公開されていませんが、「緊急避妊ホットライン」(03-3235-2638 月〜金、10時〜16時)に問い合わせれば、適時紹介してくれるとのこと。
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| 【人の看取りが看護の原点『入棺体験』】 『クリニカルスタディ』:2001年2月、p.4〜7 |
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「今回皆さんに紹介するのは、『入棺体験』という授業です。私たちにとってイメージの世界でしかない「死」というものは、実際に棺桶に入る経験をすることで、どのように変わるのでしょうか」 そんなリードから始まる記事には、棺に横たわる学生の写真がドーンと載っていました。なんておもしろい授業なんでしょう? そんなユニークな授業を取り入れているのは長野県の飯田女子短期大学看護学部。仏式ホスピスともいうべきビハーラという施設があるんですが、それに関連してビハーラ・ケア論を研究している先生のいる学校で、たぶん学校自体仏教系のところなんだと思います。 この体験学習は、葬祭業者の協力を得て行っています。まず葬儀屋さんから葬儀の歴史について話があり、それから実際に行っている「納棺の儀」にのっとって学生が棺に入るというもの。ふたを閉めてしばらくそっとしておくそうです。その間に学生は棺のなかであれこれ考えることがあるんでしょう。 アンケート結果を見ると、入館体験前も後も「棺桶のなかに入るのは怖いですか?」の質問に半数ちかくの人が怖いと答えていて、不思議なことに入棺後の方が8%ほど増えていました。さらに93.6%の人が、この体験を「よかった」と思っていて、入棺体験をとおして死への見方が変わったという人が49%。 短い記事だったので、いまいちその効果が見えてこなかったんですが、看護学校で死後の世界について触れるというのは、とても画期的なことだと思いました。 常々思っていたんですが、病院って死を隠す風潮がありますよね。亡くなったらそそくさと病棟から追い出して、霊安室以降はノータッチ。葬儀屋さんにバトンタッチされるわけです。生物学的に生きているか死んでいるかで、こうもあからさまに役割分担されると、遺族の気持ちはどうなんでしょうか? いくら心電図の波形が平らになったといっても、目の前の人の様子はそれほど変わらないわけだし、まだ体温があるかもしれないし、髭も伸びる。 ひとりの人間を機軸とすれば、すべては引き継がれていくはずなのに、死という医学的な判断でそれが断ち切られてしまう。 そのあたりがなんだか感覚と相容れないデジタル的な気がしてしまって、前からすごく気になっていました。看護は「個別性を持った人間」相手のものなのだから、医学とはちがって死後のその人にも関心を向けていいはずだと思っています。だから葬儀に関しても、授業のなかで扱ってもいいと思うんですよね。 看護学校のカリキュラムの中には、文化人類学というのが含まれていますが、かろうじてそれが葬送儀礼と若干絡むのかな。 人間は病院で亡くなって終わるわけではありません。そんな基本的なことを思い出させてくれる授業として、入棺体験というのがとても意味あることだと思います。 |
